水戸市の偕楽園にある好文亭(こうぶんてい)は、水戸藩9代藩主・徳川斉昭の別邸であり、家臣や領地の人々を集めて、詩歌や養老の会などを催した場所です。カフェ「樂(らく)」は、その中の一間、「西塗縁(にしぬりえん)広間」にあります。一番の魅力は、広間からの眺望です。「斉昭公が感じたであろう景観と空気感を、ゆっくり味わってもらえたら」。そう話す、同店オーナーの森美木(もり・みき)さんに、カフェの魅力を聞きました。
カフェの魅力を話す森さん
雰囲気のある店内
オープンしたのは、2022年です。観梅の時期に限らず、通年での偕楽園の魅力向上を図ろうと、県が好文亭内にカフェをつくることを企画しました。
西塗縁広間は、漆塗りの板の間で、広さは36畳ほどです。
森さんは、カフェオープンにあたり、「斉昭公が思い描いた広間の空気感を、大切にしたい」と、心に決めたそうです。
板の間は、なるべく傷を付けないように、店内に置くテーブルやいすの足にはカバーを付け、食器は、落としてしまうことも考慮し、木製を多く採用しています。
また、店内に花を飾らないようにしています。花があると、広間ではなく、花が主役になってしまうのではと考え、その代わり、見事に咲く梅を表現した陶器のオブジェを置いています。笠間焼作家である大貫博之さんの作品です。
天気が悪い日以外は、景観を存分に楽しんでもらうため、障子も開けています。
窓の外に広がる景観も魅力
梅の花をあしらったオブジェ
メニューのおすすめは、升に入ったデザート「枡ます」です。
定番は「梅」(880円)と、「ティラミス」(880円)の2種類。
「梅」は、スポンジの上に、ノンアルコースの梅酒を使った手作りの梅ゼリーと、オリジナルのマスカルポーネチーズをのせ、表面には、粉糖で「枯山水」を表現しています。紅色の梅の花はチョコレートです。
「ティラミス」は、スポンジにコーヒーシロップをしみこませており、表面は、粉糖とココアパウダーで、東門から好文亭へ続く道を表現しているそうです。
「枡ます」は、定番の2種のほか、季節限定の味も登場します。桜の季節は、園内の「左近の桜」をイメージした「左近の桜ティラミス」(880円)が登場します。
梅
ティラミス
コーヒーは、コロンビア産とブラジル産の豆を使った「樂ブレンド」(660円)や、コロンビア産、ブラジル産、ガテマラ産の豆を使った「好文亭ブレンド」(660円)などを用意しています。深いり豆を使った、水出ししたコーヒー「水出しコーヒー」もおすすめです。
コーヒーのほかに、抹茶や梅花茶、甘酒などもあります。
事前予約が必要ですが、「和のアフタヌーンティー」(提供は予約のみ、3,300円)も好評で、3段重に、梅の甘露煮やわらび餅、練り切りなど、10種類ほどの甘味や笹寿司が並びます。
「和のアフタヌーンティー」(梅まつり期間中の予約は不可)
森さんは、梅まつりのシーズンの華やかさはもちろんですが、偕楽園は、四季を通じて、それぞれに魅力があるといいます。「斉昭公の思いを大事に、魅力を発信していきたいです」と、話していました。
偕楽園 好文亭内 カフェ「樂(らく)」
所在地: 水戸市常磐町1-3-3
電話: 070-9040-3191
営業時間: 2月中旬〜9月30日は午前9時半〜午後4時半。10月〜 2月中旬は午前9時半〜午後4時。閉店時間は好文亭に準じます。
同店のインスタグラム: @cafe_raku_
利用には、偕楽園入園料、好文亭の観覧料が別途必要です。