大洗町磯浜町の「ウメソナーレ大洗」は、天保元年(1830年)創業の梅の加工業「吉田屋」が、梅の魅力を体感してもらおうと、2023年にオープンした施設です。
同施設が掲げる梅の魅力には、おいしさ、加工の楽しさ、植物としての面白みなど、多くが含まれます。同施設のオープンに向けて尽力した大山壮郎さんは、吉田屋8代目です。「ここを訪ねていただいたその日から、梅と一緒の楽しい毎日が始まります」と、来館をすすめています。
施設は、次の5つのエリアに分類できます。
メイン施設で体験できる梅加工は、2種類あります。梅シロップ作りと、梅酒作りです。それぞれのメニュー表を一目見ただけで、家庭で取り組む作業とは、レベルが違うことが分かります。
梅シロップは、5種類の梅と、5種類の砂糖を、体験者が選んで、掛け合わせて作ります。梅酒作りでは、5種類の梅と、5種類の砂糖に加えて、5種類のアルコールを掛け合わせることができます。
メニュー表では、梅、砂糖、アルコールのそれぞれの特徴を図解入りで分かりやすく解説しています。「この表が好評で、楽しく眺めて、悩んでしまう人もいます」と大山さん。話題のメニュー表は、ぜひ現地でご覧ください。
悩んでしまう人におすすめなのは、友だちやカップルそれぞれが、別の組み合わせで体験してみること。完成した後には、味わいの違いを楽しむこともできるし、体験途中も梅、砂糖、アルコール類の見た目の違いなどに気がつきます。
大山さんがすすめる組み合わせは、季節限定で用意する梅の希少品種、砂糖は「苦労して探し出した」というオーガニックシュガー、アルコールは地元大洗の酒蔵「月の井」の「和の月」でした。
体験の所要時間は40分ほどです。
この体験は、自宅に帰ってからも続くのが、面白みでもあります。梅などを掛け合わせて仕上げたのは、「あくまで梅シロップや梅酒の仕込みの段階です」と大山さん。専用の保存瓶に入れて持ち帰り、自宅でも1日に1回、保存瓶を振って混ぜ合わせる必要があります。「見た目や色がどんどん変わってきますから、楽しんでもらえると思います」と大山さん。
変化の様子に不安を覚えたら、LINEでの問い合わせを受け付けるなどアフターケアーもあります。
2週間後が、ついに飲みどきです。
キッチンカーで提供しているのは梅ドリンクと梅スイーツです。
メインは、「梅スイートポテトモンブラン」(880円)で、皿の上にある栗の甘露煮と見間違えそうなのは「梅のグラッセ」です。糸状に絞り出しているペーストも、栗ペーストではなく地元産サツマイモのペーストで、その中にも梅が混ぜ込まれています。
梅の酸味がしっかりと主張されながらも、スイーツらしい甘さも感じさせる品です。
ほかのエリアにも楽しみがあり、巡るだけで多くの発見があります。
広場では、天候が良ければ、梅の天日干しが冬にかけても行われていて、工場では、吉田屋の実際の加工風景が見学できます。
ほ場が本格的に稼働するのは数年先だそうで、今は、人の背丈ほどの梅の木が生長している段階です。大山さんは、「いろいろな種類の梅があります。幼木の段階を見学できるのは今だけという言い方もできますね」と笑いました。
メインの梅シロップ、梅酒作り体験は、新型コロナウイルスのまん延が生み出した物でもあるといいます。
吉田屋は、土産用の梅加工品も扱いますが、まん延期には、そのほとんどの流通が滞りました。「会社としても死活問題で、その状況下でも提供できるサービスとして考えたのがオンライン形式の梅シロップ作り講座でした」と大山さん。
SNSなどで発信すると、それが大好評。ラジオ、テレビなどのメディアにも取り上げられました。
「体験の原型どころか、ウメソナーレという施設を造るきっかけにもなったんです」と大山さん。
ウメソナーレ
Ume Sonare oarai 梅体感パーク
営業時間: 10:00〜17:00(ラストオーダー16:00)
定休日: 水曜日
入園料: 入園のみは無料
体験料: オリジナルウメシロップ作り体験(M2200円〜/L3300円〜)、オリジナル梅酒作り体験(M2640円〜/L4620円〜)
電話: 070-3052-2282
※体験は要予約。予約申し込みは同施設のホームページから