笠間市の笠間稲荷神社をメイン会場に開かれる「笠間の菊まつり」は、秋の茨城を代表するイベントです。日本最古の菊の祭典としても知られていて、明治41年の開始以来、今年で117回目を迎えます。
「ご案内したい見どころは、数え切れないほどあります」と話す、「かさまコンシェルジュ」の藤本瑠南さんに、笠間の菊まつりの楽しみ方を聞きました。
笠間の菊まつりは例年、10月下旬から11月下旬の約1か月間にわたって開かれます。期間中は、笠間稲荷神社の参道や境内などに約5000鉢、市内全体を合わせると約1万鉢の菊が展示されます。
菊の鉢植えといっても、種類はさまざま。垂れ下がるように咲かせる「懸崖(けんがい)菊」や、1本の茎から多くの花を咲かせる「千輪咲き」、日本伝統の「古典菊」など、「初めて見る菊もきっとあるはず」と、藤本さんは話します。白、黄色、紫色など、花の色彩も豊かで、会場内では品評会も開かれます。
藤本さんは、市の観光PRをする「かさまコンシェルジュ」を務めているほか、笠間の菊まつりを主催する「笠間の菊まつり連絡協議会」のメンバーでもあります。笠間の菊まつりで展示される菊の栽培場所に訪れることもあり、1年以上をかけて大切に育てる様子や、細い茎を1本1本誘引して作品を形作る姿などを知り、栽培担当者たちの菊作りへの熱意が笠間の菊まつりを支えていることを実感したといいます。
「花を、ぜひじっくりとみて、味わってもらえたら」と、藤本さんはすすめます。
笠間稲荷神社の会場には、写真撮影に向くフォトスポットがたくさんあります。藤本さんおすすめの3か所を紹介します。
手水舎の水面に、菊の花が浮かべられます。さまざまな色や形の菊の花がひしめき合い、実に華やか(花の入れ替え時は、花がない場合があります)。「水面の花を楽しんだら、上を見上げてみて」と、藤本さん。手水舎の屋根周りには、本殿を手がけた後藤縫之助の弟子、富岡清が手がけた見事な彫刻が施されています。表現されているのは、天の岩戸や十二支など。「お花にみとれて見落としがちなのですが、一見の価値ありです」
絵馬殿の壁一面に、和傘のアートが施されます。昨年、女優さんがCMの撮影で訪れた場所としても知られていて、CMでの姿を真似て撮影する女性が続出しました。「ぜひ、なりきって撮影してみて」と、藤本さん。
菊人形は、笠間の菊まつりの名物。菊の花や葉を組み合わせ、細工して作った人形で、昨年は、徳川家康と正室の瀬名を模したものが登場しました。菊人形に使う菊は、細工しやすいように、茎が長くなるように栽培するなど、技が生きています。
笠間稲荷神社から徒歩数分のところにある、かさま歴史交流館井筒屋の菊の装飾も毎年注目を集めています。井筒屋は、明治中期に旅館として建てられたもので、笠間市を代表する木造建築です。現在は、観光情報の発信、市民や観光客の交流拠点として活用されています。
例年、建物の正面広場と芝生広場に異なった装飾がされているのも見どころです。装飾は、正面広場は笠間市の国際友好都市ドイツ・ラール市、芝生広場は笠間市と交流の深い台湾の菊まつりの展示スタイルを参考にしています。
笠間稲荷神社ほかで開催
開催日は、10月26日(土)〜11月24日(日)
問い合わせは、笠間の菊まつり連絡協議会
電話:0296-77-1101(笠間市観光課内)