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さんぽの
おとも道

サッカーの裾野を広げ、子どもたちに楽しさを教えたい

世界的人気を誇るサッカー。茨城県は来年に迫る東京五輪のサッカー競技会場の一つであり、白熱した戦いが繰り広げられる予定です。実は茨城は2つのJクラブを有するサッカー王国。その中の一つ、水戸ホーリーホックはJ2リーグを戦うだけでなく、茨城出身の五輪代表選手、日本代表選手の輩出を目指しています。その下部組織の最初の入口であるスクールで奮闘しているのが、普及コーチリーダーの檜山魁斗さんです。
自身もホーリーホックのアカデミー出身。地域の子どもたちにサッカーの裾野を広げ、楽しさを教えるとともに、プロ選手や地域で活躍するサッカー「も」できる子の育成に力を入れています。

 

檜山 魁斗さん
1991年茨城県生まれ、28歳。小学時代から水戸ホーリーホックのスクール生となり、ジュニアユース、ユースに所属。2014年から水戸ホーリーホックに入社。現在は普及コーチリーダーとして牽引。日本サッカー協会公認B級コーチ、キッズリーダーインストラクター。

自身も下部組織を通じて人として成長

「スーパーディフェンス!細川淳矢選手みたいだね!」「ほら、チャンス!上手い!」。
ピッチにはファインプレーを称える檜山さんの掛け声が響き渡ります。子どもたちから「魁斗コーチ」の愛称で親しまれ、「優しくて、プレーをいっぱい褒めてくれる」「頑張れ!って応援されると、どんどんパワーが沸いてくる」と人気のコーチです。ひたち海浜公園で開かれる年2回サッカー教室の指導も担当しています。
「スクールを通じて、地域にサッカーの裾野を広げ、スポーツ好きの子をもっと増やしたいです」
檜山さんはホーリーホックのクラブハウスが新設された城里町出身。幼稚園からサッカーを始め、少年団だけでなく、小学時代からホーリーホックのスクールや地元のフットサルチームも入り、毎日サッカー漬けの日々でした。
次第に頭角を現し、中高校時代もホーリーホックの下部組織へ加入。一時期、サッカーと距離を置くなど紆余曲折もありましたが、どちらも主将に就任。持ち前のキャプテンシーを発揮して、個性豊かなメンバーをまとめ上げました。トップチームへの昇格は叶いませんでしたが、大学に進学してスポーツ全般を学び、体育の教員免許も取得し、指導者の道を目指すことに。
「やはりサッカーに関わる仕事をしたかったですし、Jクラブの指導技術や子供の接し方などもっと学びたいと思いました。そして選手としてだけでなく、人として成長させて貰ったホーリーホックに恩返ししたかったんです」と自身の原点に戻ってきたのです。

 

全てサッカーに繋がる経験

スクール生は、スポンジのようにあらゆることを吸収でき、無限の可能性を秘めている未就学児や小学生。スクールは将来、日の丸を背負う原石を磨く場でありますが、プロサッカー選手はごく一部の人しかなることができない狭き門です。檜山さんはこの貴重な時期に多種多様な経験ができる機会を提供し、社会生活に必要不可欠な人間性を育みながら、サッカー「も」できる子を輩出しようと試みています。
「もちろんプロクラブとして、トップチームに入る逸材を育てる使命があります。しかし、誰もがプロになれる訳ではない。ほとんどが他の職に就いたり、それぞれの舞台で活躍していく。多くを学べる大事な時期に、幅広い体験を通じて刺激を受け、将来に役立つ何かを感じ取って貰えたら嬉しい。人生のきっかけ作りの一助になれたらいいですね」
他クラブのスクール生との交流、他県でのキャンプ体験、田植え体験などを通じて、相手を思いやり、手を差し伸べたり、互いに感謝し合ったり。馴染みの仲間と過ごす楽しいひと時は、多様性、社会性が自然と身につく機会。その際、檜山さんは一人ひとりに目配りをして、その子に合ったアプローチを試みることも欠かしません。
「初めてのチャレンジは、勇気もいるし、コミュニケーション能力も必要。各々に個性がありますので、コーチ陣でそこを見極めて自然にフォローを加えます。一見、サッカーには関係なさそうに思えますが、全てサッカーに繋がっていく。違うスポーツでも、次のステップでも必ず活かせることがあるはずです」

サッカーで明るく幸せな街へ

檜山さんの生まれ故郷である城里町は、人口約2万人の小さな町。総面積の約6割を森林が占める自然豊かな町は、全国の例に漏れず少子高齢化が進んでいます。そこに2018年3月、Jクラブ初となる廃校を活用したホーリーホックの新クラブハウスがオープンしました。
地元出身者として地域とクラブ、子どもたちを更に繋げたい、地域を活性化したいと奮闘中です。
「縁あって故郷の町に新拠点ができたので、地元を盛り上げたいですよね。地元のブランド米の保存会の皆さんと田植えやバーベキューをするイベントもあるのですが、高齢者の方って子どもたちと接しているとイキイキしている。世代間交流をすることで、地元のお年寄りの方々を元気づけたい思いもあります。他でもなく、城里だからできることが必ずあると思うんです。それを継続的に探って、子どもたちにフィードバックしたいです」
指導者としてホーリーホックに戻って6年。そして願うのは、地域とともにクラブが大きくなること。
「サッカーは一人、二人のスター選手の誕生によって、クラブ、街全体が変わる可能性を持っている。ホーリーホック育ちの代表選手が出れば、きっと街全体が更に豊かになり、明るく幸せになると思うんです。そんな夢を抱いて、日々子どもたちに真剣に向き合っています」
サッカーで、人も地域も、未来のその先へ。檜山さんの挑戦はまだ始まったばかりです。
J1昇格に向けて好発進中の水戸ホーリーホック。ひたち海浜公園を満喫した後は、スタジアムへ足を運んでみてはいかがでしょうか?

 

取材協力: 水戸ホーリーホック

所在地: 水戸市笠原町136-1
電話: 029-212-7700

ホームゲームはひたち海浜公園の最寄り駅・JR勝田駅から常磐線上りに乗ってJR水戸駅へ。その北口4番のりばからケーズデンキスタジアム水戸(市立競技場)までの直通バスが茨城交通から運行中です。

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地元スペシャリストがナビゲート

おさんぽコンシェルジュ

国営ひたち海浜公園のある茨城県ひたちなか市。北には東海村や日立市の工業都市、西には水戸市、笠間市といった歴史と伝統が息づく街、南には大洗町や茨城町、鉾田市といった大規模な野菜生産地に囲まれています。地元で暮らす観光マイスターや観光協会に在籍する皆さんに、お散歩したいオススメを紹介してもらいました♪

 


地元で出会った人に聞いてみる

さんぽのおとも道

絶景やおいしい料理など、旅の想い出はいろいろありますが、やっぱり一番印象に残るのはその町で暮らす人たちとの出会い。国営ひたち海浜公園の周辺で暮らす、笑顔が素敵な町の人たちにお話を聞いてみました。散歩のお供に、ちょっと寄り道したくなる素敵な出会い。きっとあなたの旅をホッコリしたものにしてくれるはずです。

 


ひたち海浜公園スタッフのとっておき

ひたち旅ばなし

地元で暮らす国営ひたち海浜公園スタッフだからこそ知っている、ちょっとマニアックな話をご紹介。周辺観光はもちろん、海浜公園の中のスタッフだから知っている秘密まで!ちょっとしたオタクネタから、一大イベントの裏側、そして海浜公園を支える地元の熱い人たちまで。いろんなジャンルのよもやま話を展開していきます。

 

 

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