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さんぽの
おとも道

揺るぎない目標と、変わらぬ想いと、未来の創造

多くの観光資源に恵まれ、茨城を代表する観光地であるひたちなか大洗地域をさらに魅力的でおしゃれなリゾートとして磨き上げる「ひたちなか大洗リゾート構想」。同構想では、エリアのマリン・スポーツの聖地化を目指しており、航空機によるエアレースの開催も位置付けられています。
エアレースの世界大会に参戦するアスリートであり、一方で各地でエアショーを行うなど「地上と大空を結ぶ架け橋」として活動しているの室屋義秀さん。実は、ひたち海浜公園のあるエリアも飛行したことがあるんです!
そこで今回は、世界のエアレースを舞台に活躍する室屋さんから見たひたち海浜公園近隣エリアの印象や可能性、空の魅力、そしてこれからの未来創造について、お話を伺いました。

ひたちなか大洗リゾート構想についてくわしくはこちら

室屋 義秀さん
1973年1月27日生まれ、福島市在住。1991年、18歳でグライダー飛行訓練を開始。2009年、レッドブル・エアレースワールドチャンピオンシップに初のアジア人パイロットとして参戦し、2016年千葉大会で初優勝。翌2017年、ワールドシリーズ全8戦中4大会を制し、アジア人初の年間総合優勝を果たす。
国内では航空スポーツ振興のために、地上と大空を結ぶ架け橋となるべく全国で活動中。拠点を置く福島県の復興支援活動や子どもプロジェクトにも積極的に参画。
2021年にはLEXUSとチームパートナーシップ契約を締結し、2022年開幕となる「The Air Race World Championship(エアレース世界選手権)」に挑戦する。

操縦技術世界一のパイロット

空の彼方からどんどん近づいてきたかと思うと、地上目指して急降下、木の葉のようにひらひらと舞い落ちたところからまたグンと勢いよく浮上し、噴き出す白煙で青空にニコちゃんマークを描く……。人馬一体のごとく飛行機を操り、自由自在に空を駆ける。子どもも大人も思わずワッと歓声を上げたくなる曲技飛行を披露する、室屋義秀さん。彼の名を一躍国内に轟かせたのは、曲技飛行のパイロットたちが競うレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップでした。欧米で圧倒的な人気を誇る世界大会ですが、2015年から2019年には千葉県幕張でも開催され、日本国内でも多くの人を沸かせました。室屋さんはそんなレッドブル・エアレース史上初のアジア人パイロットとして参戦し、2017年には年間総合優勝を獲得するという快挙を成し遂げたのです。
コロナウイルス禍に見舞われた2020年からは、各地の空にニコちゃんマークを描く#Fly for ALL 大空を見上げようフライトを行い、全国各地に笑顔を届けました。
そんな室屋さんがパイロットを志したのは幼少の頃。夢を叶え空に羽ばたくまでは決して順風満帆とはいかなかったそう。単身、日本とは比べ物にならないほど航空産業が盛んなアメリカへ渡り20歳で飛行機操縦免許を取得。飛行訓練を受けるためにアルバイトに励む日々。そんな中、但馬空港で開催された曲技飛行の世界選手権を観戦した室屋さんは世界最高峰のパイロットらの操縦技術に衝撃を受け、「操縦技術世界一」のパイロットを目指すことを心に決めたのだといいます。
日本における航空スポーツの認知は決して高くありません。訓練、活動のための資金を工面するだけでも大変な日々が何年も続きましたが、諦めることなくひたすらに技術を磨き続けた室屋さん。国内でのエアショーや世界選手権への参戦など活躍の場を広げながら、次第に応援してくれる支援者を得ていき……国内で開催されたレッドブル・エアレース千葉大会で、悲願のエアレース世界選手権初優勝を飾ったのは43歳の時でした。室屋さんは、目標だった操縦技術世界一に手をかけた今もなお変わらずその夢を追い続けています。

空から見るひたちなか・大洗エリア

現在、室屋さんは茨城の隣県・福島県福島市の「ふくしまスカイパーク」にホームベースを置き活動しています。それ以前には茨城県内の竜ヶ崎飛行場や大利根飛行場を拠点にしていた所縁もあり、「茨城は僕にとってかなり身近な場所なんですよ」と室屋さんは話します。そこで、ひたち海浜公園のあるひたちなか・大洗エリアのイメージを伺ってみました。 「ひたちなか、大洗といえばやっぱり海ですよね。学生時代、暮らしていた東京から海水浴に遊びに来ていましたよ。それから、大洗港からフェリーに乗って北海道に行ったこともありました。オートバイでツーリングに。10年ぐらい前ですが、ひたち海浜公園にも遊びに行ったことがあります。すごく広大な公園ですよね。あのあたりは自然が良い、住みよさそうな場所だなと思いました」。
そんなプライベートでのエピソードも教えてくれた室屋さん。実はお仕事でもこのエリアを訪れています。2019年7月、大洗サンビーチで室屋さんのエアショーが開催されたのです。
ふくしまスカイパークから大洗までは、車で約3時間の道のり。この日、室屋さんはふくしまスカイパークを飛び立ち、大洗でショーを披露したあと茨城空港へ着陸しました。個人用小型飛行機が茨城空港を利用するのはこれが初めてだったといいます。
「空を飛んでいくとけっこう近くて、大洗までは40分ぐらいで到着出来ちゃうんですよ。とっても広い、キレイなビーチだなと思います。エアショーを行う時は、その場所の特徴や見に来てくれるお客さんの層に合わせて見せ方をアレンジしています。ビーチの長さを生かして、横長にストレッチしてどこからでもパッと見て楽しんでもらえるようにと考えました。海沿いで飛ぶところは他にもたくさんありますが、入り江が多い。大洗サンビーチは真っすぐ長いので、すごく飛びやすい場所なんですよ。もちろん、ひたち海浜公園側の海でも飛べます。あの場所だったら、公園からも飛行を見てもらえるんじゃないでしょうか?」
いつも見ている馴染みの場所で、突如として始まるエアロバティック飛行。その新鮮な驚きも、エアショーの楽しみと室屋さんは言います。

地上と大空、そして未来へ繋ぐ架け橋

誰もが目を奪われる華やかなパフォーマンスの裏側では、一瞬の隙も許されない緻密な操作と強靭な心体が要求されています。急旋回したり、宙返りをするたびにG(重力加速度)がかかり、強烈な負担がかかっています。1Gは自分の体重と同程度の力。エアレース中にどれぐらいのGがかかるかというと、10Gがかかることもしばしばだとか。スリリングなジェットコースターでは瞬間的に約4G、凄まじいスピードを誇る戦闘機でも8G、並の人間では6Gを超えると耐えられないというのだから想像もつかない世界です。
「10Gでは、体重70㎏だと700kgもの力がかかることになります。ものすごい力ですよね。旋回する前にいきんで力を入れないと失神してしまったりするんですよ。そんなわけですから15分も飛んだら汗だくです」
過酷な環境で戦うパイロットとして、普段から飛んでGに慣れることはもちろん、身体を鍛えることも大切と話す室屋さん。更に集中力を高めるメンタルトレーニングの重要さにも触れながら、室屋さんがパイロットとして実践してきた原理原則はどんな分野でも共通するものだと言います。
「小学3年生から中学2年生を対象に、航空をテーマにした体験プログラム“空ラボ”というものを行っています。
“空ラボ”は自分たちでやりたいことを見つけ、その目標を仲間と達成するために必要な力をホンモノ体験や仲間とのディスカッション、挑戦を継続することなどを通じて学びます。子供達の知的好奇心を引き出し、未来の自分を描くきっかけづくりになればと思い、2019年から行っています。
僕自身これまでたくさんの人にお世話になってきた恩返しとして、自分がもらったものを次の世代に贈っていくことが大事だと思いました。もちろん、飛行機操縦免許を取りたい人がいれば技術者育成のサポートも行っています。日本の航空分野は今後まだまだ発展する余地が秘められていると感じています。そういった意味でも、次世代育成・未来創造活動の重要さを考えています」。
最後に、室屋さんからひたち海浜公園へ来る子どもたちにメッセージをいただきました。
「自分が〝したいなぁ〟とおもうことはたいがい出来る!やりたいことを10個挙げたらそのうち7割のことは出来る。大人や他の誰かに何を言われても気にせず、やりたいことを見つけたらそれを貫くこと。それは偉大なものでなくて、人それぞれでいいんです。昆虫とかお花とか……。好きなことにのめり込んでいくうちに、やり方を改良したり、自分で工夫や気づきを見つけられるようになっていきます。好きなことに一生懸命のめり込むためにたくさん時間を使ってください。ひたち海浜公園だったら、お花や自転車などそれぞれのスペシャリストの先生に教えてもらうのもいいですね」。
2022年、新たに開催が決定しているエアレース世界選手権にフル参戦することを表明している室屋さん。目標はもちろん年間総合優勝と意気込む室屋さんの活躍を、皆さんもぜひ応援してください!

取材協力: ふくしまスカイパーク

所在地: 福島市大笹生字苧畑169
電話: 024-558-6880

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取材協力: 株式会社パスファインダー

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地元スペシャリストがナビゲート

おさんぽコンシェルジュ

国営ひたち海浜公園のある茨城県ひたちなか市。北には東海村や日立市の工業都市、西には水戸市、笠間市といった歴史と伝統が息づく街、南には大洗町や茨城町、鉾田市といった大規模な野菜生産地に囲まれています。地元で暮らす観光マイスターや観光協会に在籍する皆さんに、お散歩したいおすすめスポットを紹介してもらいました。

 


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さんぽのおとも道

絶景やおいしい料理など、旅の想い出はいろいろありますが、やっぱり一番印象に残るのはその町で暮らす人たちとの出会い。国営ひたち海浜公園の周辺で暮らす、笑顔が素敵な町の人たちにお話を聞いてみました。散歩のお供に、ちょっと寄り道したくなる素敵な出会い。きっとあなたの旅をホッコリしたものにしてくれるはずです。

 


ひたち海浜公園スタッフのとっておき

ひたち旅ばなし

地元で暮らす国営ひたち海浜公園スタッフだからこそ知っている、ちょっとマニアックな話をご紹介。周辺観光はもちろん、海浜公園の中のスタッフだから知っている秘密まで!ちょっとしたオタクネタから、一大イベントの裏側、そして海浜公園を支える地元の熱い人たちまで。いろんなジャンルのよもやま話を展開していきます。

 

 

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