コキアの丘になるまでに…

2012/10/17

今でこそコキアの名勝となっている“みはらしの丘”ですが、立派な丘になるまでには長い道のりがありました。

現在、花々が美しく咲くこの公園がある場所は、かつては日本軍水戸東飛行場があり、終戦後は米軍により射爆撃場として使われていました。

射爆場での演習風景

誤爆や騒音に苦しめられた地元住民を中心とした十数年にわたる返還運動により、昭和48年3月に日本に返還されました。その後、「平和の象徴として公園を整備したい」という地元の強い思いにより、『国営ひたち海浜公園』が誕生することになりました。無数の爆弾や銃弾が撃ち込まれた標的の跡は、今では花いっぱいの丘に生まれ変わりました。

建設中に発掘された不発弾

みはらしの丘は、米軍の水戸射爆撃場のメインの的があった場所に人工的に整備された高さが30mの丘です。使用した残土は大型トラック20万台分、約25年かかって造成しました。丘には3つの頂上があり、一番高い頂上は標高58mで、ひたちなか市の最高地点です。


造成工事中の「みはらしの丘」 平成13年空撮

当時は、秋の「みはらしの丘」は、コスモスが一面に広がっていました。秋の花を代表するコスモスの丘にコキアが加わったことにはある理由があります。

コスモスだけの「みはらしの丘」2005年撮影(2006年そよかぜ通信秋号)

太平洋岸に位置するひたち海浜公園は、砂丘や松林中心の特色ある自然環境を活かしつつ整備された公園です。「紅葉する木々が少ない園内で、季節の移ろいを感じてほしい」、当時の担当者は、紅葉して形も可愛らしい一年草のコキアに着目。2年間の試験植栽を経て、2007年から一般公開されました。


試験植栽 2005年

 


コキア一般公開初年度 2007年

夏から秋にかけての暑さや台風は、植物の状態を大きく左右します。コキアの紅葉とコスモスの開花時期を合わせるため、これまで培った経験をもとに様々な工夫をしてきました。

そして、今年で6年目を迎えた秋の「みはらしの丘」には、満開のコスモスと真っ赤に紅葉したコキアが広がっています。

 
2012年10月17日撮影

見頃は今週末(21日ごろ)まで続きます。来週からは徐々に赤から茶色のグラデーションに変わっていきます。コキアは緑から赤、茶色へと変わる七変化がお楽しみいただけるのも特徴だと思います。茶色のコキアも趣があって私たちは好きです。11月に入ると刈取りが始まります。ぜひ、この立派に育ったコキアたちを見に来てください。早目のご来園をお奨めいたします。

千紫万紅の景色をご覧ください。


2012年10月17日撮影

(広報チーム)